旅行会社の手を借りなくとも、国内、海外問わず、消費者の旅行手配
が可能となって久しいです。特にインターネットが、定額つなぎ放題と
いうインフラになってからは旅行商品や単品、それらの組み合わせで、
サプライヤーから直接購入が可能なサービスが殆どになりました。
しかしながら現在、見事に命脈を保っている旅行商品もあります。
いわゆる、パッケージツアーです。
よく法人営業のセールスマンが、「団体で見積もりをしても、お客様
がパッケージツアーの料金と比較する。なんであんなに安い料金で出来る
のか?団体の料金交渉は甘いのではないか?」と息巻くシーンがあります。
あるいは、「パッケージツアーに航空座席の在庫を提供しているので
航空会社が団体旅行に席を出さない」という不満も然りです。
パッケージツアーの造成箇所をホールセラーと言います。これはツアー
造成専業で独立している会社もあれば、旅行会社の事業部として営業して
いるところもあります。そしてツアーを販売するのがリテーラーです。
パッケージツアーは募集型企画旅行といって、エアとランド、食事他を
含むパンフレット記載の全行程まるごとを、主催旅行契約としてお客様
と締結する商品です。また、航空単品で分割購入は出来ませんが、運用
で、ランドオンリーやカセットプランなどの切り分けで、地上部分の販売
が可能なツアーもあります。
海外旅行のみを例にとれば、1965年に日本航空がジャルパックを、
1968年にJTBがルックを、1971年に日本旅行がマッハ、1972年
に近畿日本ツーリストがホリデイを販売開始、というのが主だった海外パッ
ケージツアーの始まりでした。
商品開発から50年近い歴史のなかで、個人旅行の大量送配に特化した
仕入れ、手配、オペレーションをそれぞれのノウハウで進化させてきたと
思います。
日本のホールセラー各社は、航空会社やホテル、交通機関や食事箇所に
とっては、長年にわたりBtoBの重要顧客です。長ければ1年、基幹商品は
半年、キャンペーン商品でも最低1ヶ月程の継続集客、販売の契約を結びます。
航空で例えれば、ある航空会社と、当該パッケージブランドで、日本/
ハワイ間を年間3万席の販売をするという条件で、航空座席の通期確保と
安い運賃での提供を取り決めます。羽田/沖縄間、シーズン1万席でも良いです。
この航空座席の使用条件は、パッケージツアー専用の条件とされ、団体
旅行への条件や座席の流用はしないこととする場合が多いです。団体用には
出発、帰着日に応じた団体料金を別途交渉で設定します。
また、団体旅行は不定期に発生しますので、通年コンスタントに集客が
期待され、販売人数のスケールの大きいパッケージに分があることが多いです。
旅行会社によってはスケールのメリットのためにパッケージと団体旅行を
分けず、一括総人数で交渉をするケースもあるかもしれません。
ともあれ、ホールセラーは自社商品の企画、造成、仕入れ、告知、販促と
固定費の上に販売価格を設定します。販売価格からはリテーラー(販売店)
への一定の手数料を支払って商売が成り立ちます。
ライバルのパッケージツアーより100円でも安く設定しないと、お客様
は逃げていきます。場合によっては、先の例のハワイ年間3万席、沖縄1万席
という航空会社との約束を果たす為に、赤字を出しても代金を下げ、販売人数
を優先する戦法もあるでしょう。そして赤字の上に更に手数料を販売店に返し
ます。
こんな赤字ツアーのパンフレットを団体のお客様が見たら、「なんだ、もっと
安く出来るんじゃないか!」と怒るでしょう。営業マンは上手に釈明する必要
があります。
ということで、ここまで手の掛かる商品は現在のところ、旅行会社が手配
するしかなく、料金、利便性併せ、消費者の直手配は現実的ではありません。
販売チャネルがリテーラーなのかウェブなのかの違いはあれ、パッケージ
ツアー自体の手配が消費者の手に移ることは今のところなさそうです。
また、関連して知っておいたほうが良いのは、ダイナミック・パッケージ。
一見手配旅行のようですが、旅行業者の仕入れによるパーツの販売で全体の
旅行を組み立てるのですから、募集型企画旅行なのです。
店頭販売は手数料のあるパッケージ商品を積極的に販売し、その量で更に
パッケージの競争力を向上させる好循環を図る必要があります。法人営業も
お客様の希望に合った料金のツアーならば、無理に団体仕立てするのではなく、
「個人商品です」という「条件完全納得」の下に販売すると良いと思います。
法人も個人も、営業は「利益」に拘り、ホールセラーは「数」に拘ります。
パッケージ造成の仕事は「数」の力で料金やサービスといった仕入れの優位性
を確保することがひとつ。
もうひとつの重要なミッションが「販売店に手数料を返す」ことです。
本ブログ、旅行業の将来、というタイトルにしていますが、パッケージツアー
は旅行業の将来にわたる、ぶっちぎりのアンカー商品であると確信しています。
逆に言えば、最後の砦、でもあります。
にほんブログ村
人気ブログランキングへ